日本のアルシーアル麻雀 ---------------------- 情報源:「Coolな連盟麻雀」(http://plaza2.mbn.or.jp/~itosk)…現行の連盟ルール A Mah Jong Handbook (Eleanor Noss Whitney)…1956年時点の連盟ルール 要約・比較:伊藤 和夫 日本麻雀連盟(「麻雀」の前に「プロ」がないところに注目)という団体が, 今でもこのルールで打っています。菊池寛さんが初代総裁を務めたというぐらい 古くて由緒ある組織だそうです。戦後はリーチ麻雀の隆盛でまるで陰が薄いですが, 海外で日本の麻雀を紹介している代表的な書籍は,戦後に出版されているのに, 驚くべきことに,みなここのルールに基づいています。海外普及に熱心なのかも しれません。 点数が一桁小さいですし,役が少なめなので,地味な印象を受けますが, リーチ・ドラなしの競技麻雀とか,ブールールの長麻雀(←自己矛盾)と 思えば,すんなり受け入れられるのではないでしょうか。個人的には, 競技ルールとしては,非常によくできていると思います。 中国古典ルールを紹介しているMillingtonさんは,このルール体系の, 放銃一家包と敗者間の得点授受の廃止を批判しています。Whitneyさんは 全く逆で,中国古典ルールの三家包と敗者の得点授受を批判しています。 海外の人は客観的に日本ルールを見れるのではないかと期待していたのですが, 人によって言うことが正反対だとは,困ったものです。どちらも良いルールだと いうことでしょう。「麻雀とは死ぬことなり」,「放銃は避けられない」 などの先人の言葉を考えると,和らなくても点が入ったり,放銃者が得する ことがある中国古典ルールの方が,東洋的な深さがあるのかもしれません。 逆に日本ルールには,一局の勝ち負けをはっきりさせるという,西洋的な (日本なのに西洋というのは変?)明晰さがあると思います。 それにしても,現行ルールが今でも「リーチ麻雀」とか「インフレルール」と 呼ばれるのは,どこかにこのようなルールの記憶を留めているからですよね。 私を含めて,一度も見たことも聞いたこともない人の方が多いというのに… [ゲームの開始] ・(Whitney)席決め。まず2度振りで仮東の位置を決めます。仮東以外の人が, 東南西北各1枚を伏せて混ぜ,両脇に偶数と奇数の数牌を*表向きに*置きます。 仮東はここでサイコロ2つを振り,出目に当たる人から,出目の側より四風牌を 1つずつ取ります。仮東の位置を東として,各自牌の示す席に移動します。 ・(Whitney)起家決めは,2度振りです(=東は仮々東)。 ・2000点持ちの2000点返しです。点棒の価値はリーチ麻雀の10分の1です (黒棒10点,赤棒100点,5000点棒500点,1万点棒は使わない)。 [ゲームの進行] ・東南西北の四風戦です。現行の連盟ルールだと,1時間10分経過時点で,その局が 終了したら打ち切ります。 ・北風戦でも北四局でも流局します。北四局で流れたら,終局です。 ・流局したら,常に荘家は下家へ移動します。 ・四風子連打,四槓,九種倒牌,三家和による流局はありません。1956年改訂以前の 連盟ルールでは,これらを流局にしてもよい場合として記載していました(Whitney)。 伝統固持一本槍なのかと思っていたら,以外に合理的な改革を行うんですね。 ・流局しても,ノー聴罰符はありません。従って,手を公開することもありません。 ・連荘の場積みはありません(=連荘加点なし)。 ・誤チー・ポン・カン罰符は100点です。チョンボの規定から推測すると,これも 誰の手にも渡りません。(Whitneyでは,罰符の授受を規定しているので, その後の改訂で没収制度になったんですね。点が手に入るのは和了だけにした 方が合理的だからでしょう。) [和了] ・翻しばりはありません。何でもあがれます。 ・振り聴でも,現物以外なら栄和できます。Whitneyだと,現物を切った周はその 現物で栄和できないとあります(=山越しすれば現物でもよい)。現行の方が, 一貫していてわかりやすいでしょう。ちなみに,現代の中国系ルールでは, 振り聴に全く制限がありません。香港映画の河を見れば,想像がつくと思います。 振り聴があろうがなかろうが,手の読み方の基本は変りませんので,ご安心を。 ・2人以上の同時ロンは,上家の頭ハネです。 ・搶槓は,例え国士であろうが,加槓にしか認められません。 ・チョンボ者は満貫の半額(=荘家1500点,散家1000点)の罰符を取られます。ただし, この罰符は誰ももらえません。 [役と点数] ・嶺上開花は常に自模扱いです。 ・リーチとドラはありません。 ・場ゾロ2翻はありません。 ・満貫は荘家3000点,散家2000点です。 ・連風牌の雀頭は4符です。 ・清一色だと,10符加符されます。1956年改訂のルール(Whitney)だと,10符加符は なくて,4翻役です。10符加符は,アルシーアルだと0.5翻相当なので,その後の 改訂で0.5翻落されたんですね。満貫役とのバランスを考えると,確かに4翻は 高すぎです。 ・点数計算の方法が,微妙に違います。符点を切り上げないで翻数回だけ2倍し, *その後で*10の位へ四捨六入します。これは表か電卓でもないとやってられ ません。私が子供のころの麻雀セットには「四捨六入式点数表」なる代物が 付いていました。誰も使っちゃいなかったけど,身の周りの人が,「これは アルシャールに使うんだ」と教えてくれたのを何となく憶えてます。なには ともあれ,荘家の栄和なら,四捨六入後の点数の6倍,子なら4倍を放銃者が 支払います。自模和なら,荘家がらみは倍,それ以外はそのままの点数を 支払います。 ・役は,清一色3翻以外は全て1翻で,喰い下がりはありません。役の一覧を ながめていると,「喰い下がり」は実は「門前上がり」であることがわかると 思います。 門前清自模和 1翻 平和 1翻(自模和では認められない,門前でなくてもよい) 翻牌 1翻(連風牌なら1面子で2翻) 対々和 1翻 混一色 1翻 混老頭 1翻 断幺九 1翻 全帯幺 1翻 三暗刻 1翻 小三元 1翻 海底模月 1翻 河底撈魚 1翻 搶槓 1翻 嶺上開花 1翻 一気通貫 1翻 清一色 3翻 ・以下の役は全て満貫(荘家3000点,散家2000点)です。 天和 満貫 地和 満貫 大三元 満貫 四喜和(大小とも)満貫 字一色 満貫 清老頭 満貫 四暗刻 満貫 国士無双 満貫 九連宝燈 満貫 (おわり)