『海腹川背・旬』ゲームレビュー

作者 関兆豪

訳者 津守不二夫

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『海腹川背』は数年前に発売されたスーパーファミコン用のゲー ムです。その続編『旬』がプレイステーション用ソフトとして 1997 年 2 月 28 日に発売されました。このゲームは少ないなが らも熱狂的な支持者を持つ「カルトゲーム」です。 (「海腹さん Mailing List」なんてものが存在するほどです)

このゲームのジャンルは「ラバーリングアクションゲーム」で す。プレイヤーは 2D フィールド上で先に釣り用のルアーのつい たゴムロープを持った女の子を操作します。プレイヤーはこのロー プを使ってさまざまなアクションが可能です。穴を越えるた めの、かの「ターザンわたり」もその一つです。足場の下から ロープを振って直接上に上がること(ふりあがり)や遠くへ飛ぶ こともできます。

これまで似たようなゲームは世の中に無かったでしょう。(もち ろん SFC 版は除きます)ゲーム内で使われるロープはゴム製で プレイヤーはその長さを自由に調節できます。その上、ゲーム 内の物理現象はニュートン力学に則しているので、このロープ はいわゆるワイヤリングアクションゲームに出てくるロープとは 完全に異なっています。この「ラバーリングアクション」により、 多くの単純な 2D フィールドアクションゲーム(特にアメリカ製 のゲーム)とは違うものとなっています。プレイヤーはさまざま なテクニックを覚え、応用していく必要があります。

ゲーム中で川背さんはなぜか道無き道を進んでいます。途中 ではサカナ(他にも魚介類)が邪魔をします。このゲームの目的は 川背さんを各面のゴールである扉にまでたどり着かせることです。 時にはひとつの面に 2 つ以上の違う行き先の扉があることも あります。このゲームには全部で 50 近くの面が用意されています。

このゲームにはパワーアップアイテムのようなものはありません。 唯一 1UP アイテムだけが存在します。初心者は最初のほうの面で すら、楽に入れる扉の他にとても到達できそうにない扉に出くわす ことでしょう。普通のアドベンチャーっぽいゲームならばここで パワーアップアイテムを探すことになるのですが、このゲームでは 代わりにそこに入るためのテクニックを学習することになります。 例えば、0 面の 2 つめの扉はターザンわたりがうまくならなければ たどりつくことができません。

このゲームではリプレイを保存することができます。この機能を 使って自分のプレイを保存しておき、後でそれを見る事ができます (もちろん、私はこのゲームのうまいプレイを見て楽しんでます)。 このゲームにはいわゆる「セーブ」の機能はありません。 その代わりに practice mode がついています。これにより既に 到達したことのある面を練習することができます。また、各面の 最速クリアタイムもセーブされます。このゲームにコンティニュー はありませんが、代わりにプレイヤーには最初に 9 人の川背さん がいます。

グラフィックは SFC 版と比べて大幅に良くなっています。もっとも、 PS のゲームではこれよりもグラフィックの良いものは多いのですが…。 サカナは二本足で歩いていますし、背景には道路標識のような日常 生活で見慣れた物体が配置してあります。それから、ゲーム途中には 粋な CM(川背さんが出演)が入ってます。BGM も同様に良い出来です (グラフィックと同様 PS にはもっと良い音楽のゲームもありますが)。

面は『旬』になってすべて新しいものとなりましたが、SFC 版と ゲーム自体は変わっていません。ただ、ロープの張力等の細かな 違いはあります。それから practice mode はうれしい追加機能です。 これを使うと途中の面のプレイを省略できるので、難しい面を 練習するのや「タイムアタック」(上級者はこれが大好き)をするのに 便利です。また、『旬』は初心者にも優しく、簡単なルート (30 面行きの全 15 面)を選べばクリアはそんなに難しくはありません。

このゲームの問題点としては(多分ですが)リードエラーの処理を しっかりとしていないことです。古いプレイステーションではディス クアクセスの最中に頻繁にハングアップしました。しかし、私の 新しい PS ではハングアップはおこってません。

海腹川背は、かわいらしいグラフィックやキャラクタとはうらはら に非常に硬派なゲームです。ゲームは非常に革新的ですが、多くの 人達に普通に楽しまれるようなゲームというより、楽しみたい人に とって「深く」楽しめるような、まさにそういうゲームです。 最初は、ただ普通に面白いだけです。しかし、プレイしているうち にだんだんと「技」(「ふりあがり」のような重要な技)を学習して くるとプレイヤーは真の面白さに目覚め、このゲームに病みつきに なります。2D アクションゲームが好きで、お決まりなパターンの ゲームに飽きて何か変わったものが欲しい人なら、まさにこの 『海腹川背・旬』を楽しむことができるでしょう。


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Alan Kwan / tarot@netvigator.com / created 14 May 97